彼のおじいちゃんの巻。
昨日から、彼の実家に彼のおじいちゃんが来ていた。
体調がすぐれなくて彼の家族が田舎から連れて来たらしい。
彼のおじいちゃんは、とても優しい。
世代的に日本に良いイメージを抱いていない人がいる中、おじいちゃんは知っている日本語で私にたくさん話しかけてくれた。
いつも笑顔でまるで本当の家族のように迎えてくれた。
私は早くにおじいちゃんをなくしている。
だから彼のおじいちゃんと初めて会った時、自分のおじいちゃんと再会したような懐かしい気分になった。
今朝、そんな彼のおじいちゃんに会いに彼の実家を訪れた。
みんな仕事に出かけていておじいちゃん一人だった。
電気もつけずにただじっと部屋に寝ていた。
私が声をかけると、『テレビを見ようとしたんだけど使い方がわからないんだよ』といつもの笑顔で話してくれた。
私も機械に弱くて二人で悪戦苦闘したものの、結局わからず彼に聞いた。
テレビやコンセントまで色々さわっていたのに、リモコンのボタン一つで解決することだった。
『なんだこんなこともわからなかったのか』と二人で大笑い。
その後、ほんのちょっと話をして私は家を出た。
おじいちゃんはずっと私が朝ごはんを食べていないことを心配していて食べて行くように言われたけど、仕事の時間が気になってそのまま取引先へ向かった。
家を出て数十分後、彼から電話があった。
おじいちゃんと連絡が取れないと。
私は特に気にもとめず、『さっき話したけど元気そうだったよ』とだけ答えた。
だけどその後おじいちゃんは救急車で運ばれた。
私がもう少し家にいて朝ごはんを食べていたら、
私がおじいちゃんの異変に気づいてあげられたなら、
彼から電話がかかって来た時すぐに家に戻っていたなら。
今更悔やんでも泣いてもどうしようもないことだけど、自分を責めることしか出来なかった。
病院で精密検査を受けて、今は休んでいるらしい。
命に別状はないと聞いてほっとした。
私は何かに一生懸命になると周りが見えなくなることがある。
もっと大事な人に目を向けなきゃ。
挑戦し続けることも
行動し続けることも大事だけど
大切にすべきものを失ったり犠牲にしてはいけない。
明日、おじいちゃんの目が覚めたら連絡しよう。
家族として迎え入れてくれたおじいちゃんに、私も家族として愛しているとただ伝えたい。